レノファのショップの前にいたら、60代くらいの女性が5人、ちらっと寄せ書きを見て「NHKで出てたとこよね」「最後に追いついたって。すごかったってよ」と話ながら歩いていった。
(あまりカテゴライズするのは良くないかもしれないが)この世代の女性層の頭にインプットできているかどうかは浸透のバロメータ。着実にクラブが根付いてきているなと実感した瞬間だった。
単に露出機会が増えてきたことも一因だけど、レノファはなんとなく『顔』が見えていて、いろんな層の人が親しみを覚えているのかもしれない。
ギラも三浦監督の時代、監督が、監督のおしゃれ度の高さから言えば場違い感はあれど、旦過市場のうどん屋さんやかまぼこ屋さんに通った。その結果、たぶんサッカーなんて縁のなかった人が多かったと思うけど、みんなギラの結果を気にしだして、歩く人も「今日はどうやったって?」って聞くようになった。
(あとはやっぱり「この世代の女性層」にNHKキャスターの垂水さんが愛されていたのも効いたかもしれないけど)
三浦監督も垂水さんも去り、柱谷監督は料理好きで小倉でも見かけるけれど、クラブ全体としては少し顔が見えなくなった。でも、顔を見せる作業ってあまり難しいことではなくて、クラブスタッフが3食のうち1食は必ず市街地の店で食べるとか、そういう簡単なところからでいいと思う。もうちょっと『顔』を見せていってほしいな。
チームが強くなること、顔の見える関係の中で話題が広まること、そういう好循環が人とチームの良い関係を作っていくんだろうし、プロサッカークラブの存在意義とも言える豊かな地域づくりにも貢献するんだと思う。
かくいう私も、某職場で、レノファサポーターの某氏が、会うたびに「レノファが! きのうのレノファが!」と言ってこなければ、やっぱりレノファは対岸のチームだった。顔の見える関係の中で話題を持ち込んでいくというのは本当にでかい。
今日、河村社長は「(試合翌日の)職場や学校で話題になるチームを作りたい」という話をしていて、本当にそうだと思った。
そういえば嘗て三浦監督もこう話していた。「育てて勝利していくクラブが大きくなり、サポーター、ファン、市民が集まってくる。それも若者だけではなくて、この街に住む高齢の方が孫のために、息子のために、いろんなものを残していくクラブ。地域の人が支えているけれど、サッカーは世界に通じている。これがグローカルスタンダードというか、北九州の目指すところだと思う」。
地域に支えられ、地域を豊かにするクラブづくり。難しいことじゃない。