うえだのいばしょ

世界最小級ペンギン系記者・編集者、上田真之介はいまどこで何をしているのか。

カテゴリ: 読んだもの・観たもの

20160622_1


電車移動が多いことを利用して、最近は再び本を読むようになった。このたび選んだのは、恩田陸さんの小説「夜の底は柔らかな幻」。けっこうな早さで読了した。続きを読む



消費される芸術の現代的(あるいは大衆的)再評価 ~最後の印象派展


異論は認める。

おそらく彼らにも、彼らの画風が一時代の最後になることは分かっていたのではなかろうか。1920年前後に至ると、新しい絵画のうねり、激動する時代の波濤にあおられて、彼らの作品からそれまでのアイデンティティが薄れていく。第一次世界大戦が1914年に勃発。彼らがよりどころとしていた展覧会は3年の中断を経て17年に再開されるが、22年、ついに幕を閉じた。それからの時代、つまり20世紀の大半の期間で西洋画壇を闊歩したのは(21世紀になっても流れは変わっていないが)ピカソ、ダリ、デ・キリコらの先鋭的な作品群。それらの興隆に抗えず、彼ら19世紀末から20世紀初頭にかけての刹那にパリの街を席巻した「画家彫刻家新協会」(ソシエテ・ヌーヴェル)の画家たちはたちまちのうちに埋もれていった。
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