少し前の話になってしまった。中原秀人選手のギラヴァンツ北九州から鹿児島ユナイテッドFCへの移籍に関して、遅ればせながら感想を書いておく。
中原選手は福教大在学中の2011年と12年に特別指定選手で北九州の練習に参加していて、12年はリーグ戦にも出場した。模範的な「頭のいい選手」で、当時の三浦泰年監督の難しい練習をすぐに覚えたという印象がある。ゴールの3~4つ前で仕事ができ、味方を動かすのが上手い。

鹿児島でこの特徴を発揮できれば、いまの中盤陣の負担をかなり減らせると思う。鹿児島はボールを動かすという点では赤尾公選手への負担がかなり大きいし、永畑祐樹選手や五領淳樹選手はパスを引き出すための上下動が多く、ゲーム内容は充実していても、90分を続けていくのは厳しそう。そこに中原秀人選手が加われば、中盤の負担が分散し、前に走る選手たちの「無駄走り」も減ってくるはず。必然的にFW藤本憲明選手へのラストパスのクオリティも上がる。これは鹿児島にとってかなりカギになる補強になる。

一方でギラヴァンツ北九州。現状の戦い方では、「ゴールの3~4つ前」で決定的な仕事をする必要はない。中盤を張る花井聖選手はゴールの遠くではなく、よりゴールに直結するプレーをしている。鹿児島のような中から外、外から外、外から中というテクニカルな連係ではなく、北九州は(個の力があるので)中から中という直線ルートが多く、それは花井選手向き。中原選手の強みはここでは出せなかった。

もっとも、後半戦は確実に相手チームが対策をしてくる。鹿児島は「ゴールの3~4つ前」という場所の質を上げて乗り切ろうとする。北九州は「ゴールの直前」の重心を高めて後半に備えることになるが、それは池元友樹選手と水永翔馬選手のFW2人の出来にかかるということでもあろう。

昇格を目指すチームは後半戦、J3を戦い抜くだけでなく、その先のJ2をどう生き残るかまでしっかり見通して戦いたい。資格はあるか。試練の後半戦は2週間後に始まる。