ツール・ド・フランスの第2週、第10ステージから第15ステージまでの簡単な振り返り。
(自分用の記録ですが)

第10ステージ
[平坦]178km
ペリグー~ベルジュラック

すでに、あまりにも多くの選手たちがこのツールを去っていた。
移動を含んだわずか1日ばかりの休息日が明けた7月11日、第10ステージのスタートラインには、アレハンドロ・バルベルデ、リッチー・ポート、ゲラント・トーマス、ペテル・サガン、それにサガンの背中を追いかけるべきアルノー・デマールの姿もない。ボアッソンハーゲン、ヨン・イサギレも。
このステージはラスコー洞窟や美しい城に満たされたドルドーニュ県を巡る。城の多さは歴史の壮絶さを物語るが、死人を出しての戦いは遠い昔日の記憶。極東からヨーロッパ、アフリカに至るまで多国籍の選手たちがひしめく集団が駆け抜ける。
スタート直後にヨアン・オフレド(🇫🇷ワンティ)、エリー・ジェスベール(🇫🇷フォルテュネオ)のフランス人2人の逃げ集団ができ、メーン集団は逃げを絶対に掴まえられる距離を保ちながら、観光列車よろしく歴戦の土地を華やかに走った。
ただし、最後の数キロだけは違う。主催者はベルジュラックのフィニッシュでも直角カーブを散りばめた。逃げを掴まえたままの勢いで極めてナーバスになったスプリント勝負。制したのはやはりマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)だった。
クイックステップは十分なリードアウトトレインを組めず、最後の1キロは必ずしも上位にいたわけではなかった。それでもリードアウトのいたナセル・ブアニ(🇫🇷コフィディス)を交わすと、他のピュアスプリンターを寄せ付けない格の違いを見せつけるよな加速。ジョン・デゲンコルプ(🇩🇪トレック)は追いすがったが付き切れした。キッテルのツールでの総ステージ優勝はこれで13回目となった。

ステージ勝者 マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)4時間1分0秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)42時間27分28秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)275ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)60ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)42時間29分30秒



第11ステージ
[平坦]203.5km
エイメ~ポー

今年もポーに行く。山が待っている。早く山に行くために、「サイクリストのための修道院」を横目に、プロトンは高速で過ぎていく。まさに移動のためのステージであり、スプリンターに用意されたステージだ。ただし波乱も起き、途中でカタルド(🇮🇹アスタナ)とフグルサング(🇩🇰アスタナ)が落車。カタルドはリタイヤし、フグルサングも手を痛めファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)のアシストをする力を失った。
レースは残り28キロで、逃げ集団3人の中からボドナールが飛び出し高速走行を続ける。終盤にかけてカーブが多かったこと、クイックステップのけん引に任そうとする集団側の心理などが影響してボドナールは1キロを切っても逃げ残り、300メートルまで単独走行。しかし計算は集団が勝った。最後に引きずり込まれ、集団スプリントでゴールを迎える。スプリンターチームはそれぞれにまとまった動きができず、エーススプリンター同士の激しい単騎争い。ボアッソンハーゲン(🇳🇴ディメンションデータ)が抜け出たかに見えたが、番手から左に出て突き上げ、右拳を掲げたのはマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)だった。
キッテルは今大会5勝目。ポイント賞トップの誇り、マイヨ・ベール(グリーンジャージ)はほぼ手中に収めた。クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)は総合トップを維持し、レース後のインタビューでは翌日の山岳ステージでいくつかのアタックをするのかと聞かれ「それはグッド・クエスチョン(いい質問)だ」と話すにとどめた。

ステージ勝者 マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)4時間34分27秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)47時間1分55秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)335ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)60ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)47時間3分57秒



第12ステージ
[上級山岳]214.5km
ポー~ペイラギュード

最強集団はただ一人、エースが弱みを見せた。第12ステージ、大きくレースは動く。
序盤は激しい逃げの打ち合い。中間スプリントポイントを狙うマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)とマイケル・マシューズ(🇦🇺サンウェブ)の2人のスプリンターが含まれた12人の逃げグループが最終的にできあがった。
大きな動きが出てくるのは超級山岳ポール・ド・バレスの登坂に入ってから。ここでアルベルト・コンタドール(🇪🇸トレック)が一度仕掛けるが、スカイの引くメーン集団にすぐに吸収される。先頭集団からはステファン・カミングス(🇬🇧ディメンションデータ)が抜け出て山岳を最初に通過し、さらに逃げ切りを狙って後続を引き離していく。
長い超級山岳からの下り坂をほぼ終えようとするところで、スカイのアシスト、ニエベ(🇪🇸スカイ)がオーバーラン。それに吊られるようにクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)とファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)もコースアウトしたが、大事には至らなかった。メーン集団にはロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)、ナイロ・キンタナ(🇨🇴モビスター)などが残っていたが、この機に乗じたアタックはせず、2人のエースを待って再出発し、1級山岳ペイルスルド峠に入っていった。
この1級山岳で最初に脱落したのはキンタナ。大きく後方に置いていかれることになった。そしてカミングスも集団に交わされ、トップはスカイが引く集団11人に。このうちアシストを残せているのはフルームをエースとするスカイのみとなった。 最大勾配16%、2級山岳ペイラギュードの滑走路にゴールする最終登坂。スカイは未だミケル・ランダ(🇪🇸スカイ)が先頭に立ちコントロールする。しかし、最後にアルが仕掛けると、フルームがすぐにチェックに入るがそのまま引き離されてしまう。さらにそのアルを脇から交わして右手を挙げたのはバルデだった。バルデがステージ優勝し、アルは3位でゴール。フルームはアルから22秒遅れでフィニッシュし、ボーナスタイムも含めてアルが黄色ジャージに袖を通した。フルームとの総合時間差は6秒。

ステージ勝者 ロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)5時間49分38秒

各賞ジャージ
総 合 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)52時間51分49秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)352ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)70ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)52時間52分2秒




第13ステージ
[上級山岳]101km
サン・ジロン~フォワ

サン・ジロンのスタート地点。フロントローにはクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)の姿はなかった。きのう首位の証、マイヨ・ジョーヌを失ったからだ。フルームらスカイ勢は集団の中央に、他のチームと同じように埋もれていた。
山岳リーダージャージ、ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)と今年限りで引退するトマ・ヴォクレール(🇫🇷ディレクトエネルジー)がスタート直後にアタックし、差を広げる。その後方では新城幸也(🇯🇵バーレーンメリダ)なども仕掛け、逃げに乗ろうと試みる。このアタック合戦は10キロ過ぎまで続き、バルギルとヴォクレールは集団に引き戻された。その後、スプリントポイント前にジルベール、デマルキ、シャバネルの3人が逃げに出る。だが、その逃げ集団も山岳をこなすには力がなかった。
厳しい山に入って仕掛けたのはアルベルト・コンタドールとナイロ・キンタナ、それにバルギルだった。コンタドールとミカル・ランダ(🇬🇧スカイ)が先行、そしてキンタナとバルギル、クウィアトコフスキ(🇵🇱スカイ)が追走集団を形成した。この追走は最終山岳の頂上で先頭に追いつき、クウィアトコウフスキを除く4人でそのまま下りきった。逃げ切りが決まり、最後のスプリントは序盤戦から動いていたバルギル(🇫🇷サンウェブ)だった。
後方集団ではスカイだけがアシストを残し、下がってきたクウィアトコウフスキがフルームをアシストしたが息が合わず、決定的な攻撃はできなかった。集団はダニエル・マーティン(🇮🇪クイックステップ)とサイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)が抜け出てやや先着。アルはマイヨ・ジョーヌを守り、スカイの攻撃は不十分だった。
コンタドールは敢闘賞を受賞したほか、総合ではトップ10以内に返り咲いた。スカイのランダはタイムを稼ぎアルとは1分9秒差の5位に入っている。

ステージ勝者 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)2時間36分29秒

各賞ジャージ
総 合 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)55時間30分6秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)363ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)94ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)55時間32分10秒



第14ステージ
[中級山岳]181.5km
ブラニャック~ロデズ

3級山岳2つが入り、ゴール地ロデズでは距離は短いながら10%を超す勾配を登り切ってゴールする。中央山塊に急ぐステージは、ベルギーやオランダで行われるワンデーレース(いわゆるアルデンヌクラシック)を彷彿させるレイアウトとなった。だからこそ元気だったのはBMCとサンウェブだった。
エースを失ったチームは目標をステージ優勝に切り替えた。ポイント賞や山岳賞で後手に回ったチームはわずかでもポイントを稼ぎたい。いずれにも届かないチームでも、今年はアピール不足のフラストレーションが溜まる。結果的には出入りの激しい展開になった。
レースはまずデヘント、ヴォクレールらが入る逃げ集団5人が先を行く。しかしその逃げが最後まで容認されることはなく吸収。なおもマリウツ・ラメルティンク(🇳🇱カチューシャ)が飛び出すが、エースのリッチー・ポートがリタイヤしているBMCと、ポイント賞2位のマイケル・マシューズ(🇦🇺サンウェブ)を抱えるサンウェブがコントロールし、全ての逃げを押さえ込んだ。
いよいよ最後の登坂。激しい位置取り争いの末、予定された通りにフレッヒ・ファンアーヴェルマート(🇧🇪BMC)とフィリップ・ジルベール(🇧🇪クイックステップ)らパンチャー勢らが引っ張ってゴールを目指す。だが、彼らに並ぶことなく脇を抜けていったのはマイケル・マシューズだった。登れるスプリンターは風を切っていた。激坂にもかかわらず。
意外にも強さを見せたのはクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)だった。最後の数キロをアシストとともに好位置で駆け抜け、登坂を快走。ペイラギュードの滑走路の悪夢を振り払うようにマシューズと1秒差の7位でゴールした。一方で、マイヨ・ジョーヌのファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)はフルームのチェックさえできず大幅に遅れていた。20秒以上も後方に取り残され総合首位は逆転、黄色を再びフルームが身につけることになった。フルームとアルとの総合成績でのギャップは19秒。

ステージ勝者 マイケル・マシューズ(🇦🇺サンウェブ)2時間36分29秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)55時間30分6秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)373ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)94ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)59時間54分11秒



第15ステージ
[中級山岳]189.5km
レサッックセヴェラック・レグリーズ~ルピュイ・アン・ヴレ

逃げ向きのステージとなったが、メイン集団はトレック勢が中心となってコントロールした。エースを失っているBMCは強力な3選手を逃げ集団に投入。その逃げは30人近い大所帯となってレースを進めていく。最初の1級山岳から次の1級山岳への繋ぎの区間で、逃げからトニー・マルティン(🇬🇧カチューシャ)がアタック。2回目の1級山岳ペイラ・タイヤド峠の途中までは逃げたが、ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)に交わされる。
また、集団ではAG2Rがペースを上げる一方、クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)がバイクトラブルで遅れ、一時は50秒の差を付けられる。それでもフルームは、後輪を差し出したクウィアトコフスキーやAG2Rの集団から降りてきて引いたミカル・ランダらの献身的なアシストを受けて山頂手前で復帰した。
山頂からの下り、30キロを残して先頭集団からはバウケ・モレマ(🇳🇱トレック)が仕掛け、後続を引き離していく。その後方ではバルギルなど4選手が追いかけるもローテーションがうまく回らず、差は縮められなかった。モレマがステージを飾り、メイン集団ではフルームが強さを誇示するようにスプリントで先着した。
AG2Rはロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)の郷里に近いところを走りアシストも盤石だった。それでもアシストを削ったフルームとのギャップを縮めることはできなかった。また、バルデへの観衆の熱い応援がある一方で、フルームへのブーイングも激しく、AG2Rの関係者による話としてバルデが「フルームは尊敬に値する選手だ。謝罪したい」と語ったと有力紙レキップが伝えている。
それにしてもフルームのメカトラが目立つ。今年は登坂時に軽いギヤで高ケイデンスで上るよりも、ダンシングしたり、フルームらしくないピッチの上下をしたりと、走りの変化もみられる。今年は頂上ゴールが少なく、下り坂でフィニッシュの町に入るステージがほとんど。こうした変化はレイアウトに合わせたバイク設定が影響しているかもしれない。ただ、今年は出場レースそのものが少なく、(特にメカニック側が)設定を十分に落とし込めずにツールに臨んだ可能性はある。むろんチーム・スカイのことだから理論上は問題はないはずだし、フルームも乗りこなせてはいるようだが…。
各チームに不安を残したまま、ツールの少しずつ小さくなってきた旅団は休息日に入っていった。

ステージ勝者 バウケ・モレマ(🇳🇱トレック)4時間41分47秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)64時間40分21秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)373ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)116ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)64時間42分23秒