ツール・ド・フランスの第1週、第1ステージから第9ステージまでの簡単な振り返り。
(自分用の記録ですが)

第1ステージ
[個人タイムトライアル]14km
デュッセルドルフ~デュッセルドルフ

ドイツがグランデパール(スタート)となるのは30年ぶり。市街地を駆け抜ける14キロ、ライン川を渡る2度の小さなアップダウンがあるだけのほぼ平坦のレイアウトとなった。ただ、当地のタイムトライアル・スペシャリスト、トニー・マルティン(🇩🇪カチューシャ)には15キロにも満たないプロローグのようなステージは余りにも距離が短すぎた。
天候は雨。グランデパールの華やかさとは対照的に各選手はナーバスにスタートを切る。好走したのはゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)。16分4秒でゴールし、総合トップの黄色ジャージ「マイヨ・ジョーヌ」に袖を通した。スカイはトーマスを含め盤石。最終的な総合優勝を争うエース選手の争いでも、クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)が攻めの走りを見せ、16分16秒でフィニッシュ。リッチー・ポート(🇦🇺BMC)、ナイロ・キンタナ(🇨🇴モビスター)などライバル勢はフルームから35秒以上遅れた。
落車も相次ぎ、有力ライダーのアレハンドロ・バルベルデ(🇪🇸モビスター)とヨン・イサギレ(🇪🇸バーレーンメリダ)がリタイヤ。新城幸也(🇯🇵バーレーンメリダ)は完走したが、自チームのエースを早くも失った。

ステージ勝者 ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)16分4秒

各賞ジャージ
総 合 ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)16分4秒
ポイント ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)20ポイント
山 岳 -
新 人 ステファン・クーン(🇨🇭BMC)16分9秒



第2ステージ
[平坦]203.5km
デュッセルドルフ~リエージュ

2カ所に4級山岳という低いカテゴリーとはいえ、今大会初の山岳ポイントが設けられた。マイヨ・ジョーヌ(個人総合)やマイヨ・ベール(スプリントポイント賞)には手が届かないチーム、選手などが、比較的手の届きやすい山岳賞を狙って逃げを打つお決まりの展開に。逃げ集団のうち2つともトップ通過したタイラー・フィニー(🇺🇲キャノンデールドラパック)がそれの獲得に成功した。
4級山岳は重量級スプリンターでも越えることができ、ゴールに遅れることはない。やはりフィニッシュシーンも逃げていたフィニーらを吸収し定番のスプリント争いとなった。ただ、ゴールの約30キロ手前でクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)、ロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)などが含まれる集団落車が発生。これによるスピードダウンが影響したか各チームともにスプリントはアシストの少ない地足勝負となる。勝者はマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)。ドイツをスタートしたステージで見事に一番フィニッシュを飾ってみせた。途中の落車に巻き込まれた総合系の選手にリタイヤする者はなく、フルームも擦過傷のみで済んでいる。

ステージ勝者 マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)4時間37分6秒

各賞ジャージ
総 合 ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)4時間53分10秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)63ポイント
山 岳 タイラー・フィニー(🇺🇲キャノンデールドラパック)2ポイント
新 人 ステファン・クーン(🇨🇭BMC)4時間53分15秒



第3ステージ
[中級山岳]212.5km
ヴェルヴィエ~ロンウィ

スカイのツイッターが「ツールに晴れが戻ってきた」と嬉しそうにつぶやいた。ヨーロッパの小国にして自転車選手を多く輩出してきたルクセンブルグを縦断する第3ステージ、束の間の平穏が戻った。平坦ステージながらアップダウンが激しく、ゴール前も上り坂のレイアウトだ。ペテル・サガン(🇸🇰ボーラ)向きと言われたステージは、はたしてサガンが制した。最終スプリントで右足がペダルから一度外れたにもかかわらず。
3級山岳と4級山岳が5カ所に配され、これをめぐるバトルも勃発。今大会限りでツールを去るトマ・ヴォクレール(🇫🇷ディレクトエネルジー)の意志を継ぐようにリリアン・カルメジャーヌ(🇫🇷ディレクトエネルジー)も積極的に走ったが、ジャージを勝ち取ったのはネーサン・ブラウン(🇺🇲キャノンデールドラパック)だった。新人賞はフランス人ライダーのピエール・ラトゥール(🇫🇷AG2R)に移った。

ステージ勝者 ペテル・サガン(🇸🇰ボーラ)5時間7分19秒

各賞ジャージ
総 合 ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)10時間0分31秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)66ポイント
山 岳 ネーサン・ブラウン(🇺🇲キャノンデールドラパック)3ポイント
新 人 ピエール・ラトゥール(🇫🇷AG2R)10時間0分56秒



第4ステージ
[平坦]207.5km
モンドルフ・レ・バン~ヴィッテル

明日の第5ステージは序盤戦の山場となる。今日は勝負する日ではない。集団は一人で飛び出したギヨーム・ヴァンケイスブルック(🇧🇪ワンティ)を泳がせ、スカイやBMC、モビスターなどの総合系のチームはお休みモードへ。スプリンターを擁するクイックステップ、ボーラ、カチューシャなどのチームはスプリント勝負のために足を溜めていた。誰もが最後の一瞬だけを争えばいいと考える暇なステージになるはずだったし、確かに残り数分までは暇だった。ヴァンケイスブルックの酷暑下の果敢な逃げとステージ勝者を讃えれば良かったのだ。
ところが主催者はスピードの上がる残り2キロから狭い道での直角カーブを3つも入れるレイアウトを採用。問題の残り数分の間に、まずは大事に至らなかったとはいえゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)が巻き込まれる中規模落車が発生し、集団はバラバラに。スプリンターのトラブルで急きょゴールスプリントをするはずだった新城幸也(🇯🇵バーレーンメリダ)も足止めを食らった。
そしてゴール前。先行するアルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)を追うペテル・サガン(🇸🇰ボーラ)と、サガンと道路際のフェンスの間を縫おうとしたマーク・カヴェンディッシュ(🇬🇧ディメンションデータ)が接触。カヴェンディッシュは激しく地面に打ち付けられ、これにジョン・デゲンコルプ(🇩🇪トレック)も巻き込まれた。デマールが勝利に両腕を突き上げる一方で、カヴェンディッシュは動けずリタイヤ。さらにコミッセール(審判団)はサガンが落車の要因になったとして失格処分を下した。5年連続でポイント賞ジャージを獲得していたスロバキアの英雄は、無惨な形でツールをあとにした。

ステージ勝者 アルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)4時間53分54秒

各賞ジャージ
総 合 ゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)14時間54分25秒
ポイント アルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)124ポイント
山 岳 ネーサン・ブラウン(🇺🇲キャノンデールドラパック)3ポイント
新 人 ピエール・ラトゥール(🇫🇷AG2R)14時間54分50秒



第5ステージ
[中級山岳]160.0km
ヴィッテル~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ

最近のツールは「ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ」の登りが大好きなようだ。エースのうち、脚のある者は決して遅れない。そして脚のないものにはごまかしがきかない。脱落者を決めるのに好都合のステージと言えるし、もしかしたら決定的な動きもある。
その登坂、仕掛けたのはファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)だった。アスタナは取り憑かれたようにスカイへの敵意をむき出しにする。スカイが引く集団でおとなしくするにも限界はあっただろう。アルは彼の特長とも言える左右に体を大きく降るダンシングで、なおかつリズミカルにペダリング。後続をぐんぐんと引き離し、クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)に20秒の差を付けてフィニッシュした。
フルームにとってマークすべきライバルはアルではなかった。アルの逃げ切りを容認すると、フルーム自身も軽快に走ってロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)、アルベルト・コンタドール(🇪🇸トレック)などを置き去りに。ついて行けたのはダニエル・マーティン(🇮🇹クイックステップ)とリッチー・ポート(🇦🇺BMC)だけだった。マイヨ・ジョーヌを着ていたゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)はこのステージから正式にフルームのアシスト役に戻り、フルームが黄色に袖を通した。
決定的な動きはなかった。しかし、総合優勝の争いから見れば崖っぷちに立たされる選手が出始めた。

ステージ勝者 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)3時間44分6秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)18時間38分59秒
ポイント アルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)127ポイント
山 岳 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)10ポイント
新 人v サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)18時間39分42秒



第6ステージ
[平坦]216.0km
ウズル~トロワ

一つ目の山を越えた。分かったことはクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)を擁するスカイが強いこと。そして何人かのスプリンターがすでに去ったことだ。第6ステージは平坦コース。集団は3選手を泳がせ、未だスプリンターのいるチームはゴール勝負に備えた。
「もちろん」と最初に書いてもいいだろう。このステージも勝者はマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)だった。ただ、異変として語らねばならないのは、どのチームもアシストの力を最後まで残せずリードアウトトレインが崩壊気味だったこと。クイックステップもキッテルの力業で勝利を勝ち取った。スプリンターが力を残せるように200キロをしっかりとアシストしていたことは言うまでもないが、例年よりもスプリンター本人の力が問われる平坦ステージが続く。

ステージ勝者 マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)5時間5分34秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)23時間44分33秒
ポイント アルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)170ポイント
山 岳 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)10ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)23時間45分16秒



第7ステージ
[平坦]213.5km
トロワ~ニュイ・サン・ジョルジュ

前日と同じ200キロ超の平坦ステージ。何かが変わるということはない。193人でスタートし、4人の逃げ集団を容認。ステージ終盤で逃げを捕まえてスプリントに持ち込むのみだ。スプリンターはゴール直前まで守られるし、総合系の選手たちは今日も勝負はしない。テレビで見るときは空撮が捉える古城や地元の人たちが作る人文字、沿道を彩る歓迎の造形を楽しめばいい。多くのライダーも談笑し、あるいはボトルを沿道の応援者に差し出すように投げ捨てる。
最終スプリントはやはり列車は組めなかった。競ったのはマルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)とエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(🇳🇴ディメンションデータ)。空撮からも、映像からもほとんど同着のゴールとなった。詳細な分析の結果、0・0003秒差でキッテルが先着。ポイント賞ジャージもキッテルに渡った。

ステージ勝者 マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)5時間3分18秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)28時間47分51秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)197ポイント
山 岳 ファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)10ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)28時間48分34秒



第8ステージ
[中級山岳]187.5km
ドール~スタシオン・デ・ルス

2日間も脚を休められるステージが続いたあとの、山がちな一日。中規模の峠を2つこなした後、1級山岳ラ・コンブ・ド・レシア・レ・モリュヌに登り、そのまま高原を駆けてゴールする。ただ、翌日の第9ステージは今大会の最難関レイアウト(クイーンステージ)だ。常識的に考えれば若手選手や主催者によって招かれたワールドツアーチーム以外の4チームのうちの誰かが逃げ切りを図り、総合系の選手たちはそれほど脚を使わずにゴールするべきだろう。
そして、確かに公式のリザルトを見ればそうなっている。最終登坂の途中で逃げ集団から飛び出し、脚を攣りながらも先行したリリアン・カルメジャーヌ(🇫🇷ディレクトエネルジー)が腕をぐるぐる回しながら喜びを爆発させてトップフィニッシュ。総合系の選手たちは50秒後方で集団ゴールした。
だが、レースはスタートから激しいアタックの掛け合いとなっていた。はっきりとした逃げ集団を形成することはなく、逃げては遅れ、遅れてはアタックしの連続。スカイは鉄壁のアシスト陣がクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)を守ったが…。翌日はクイーンステージ。なぜ脚を使う展開にしたのか-。どの選手にとっても苦笑いと疲労を顔に浮かべたゴールになった。

ステージ勝者 リリアン・カルメジャーヌ(🇫🇷ディレクトエネルジー)4時間30分29秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)33時間19分10秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)212ポイント
山 岳 リリアン・カルメジャーヌ(🇫🇷ディレクトエネルジー)11ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)33時間19分53秒



第9ステージ
[上級山岳]181.5km
ナントゥア~シャンベリー

超級山岳が3つも入り、難易度としては今大会中もっとも高いステージ、いわゆるクイーンステージとなった。このステージをいっそう難しくしたのは単なる山頂フィニッシュではなく、山を越えたあとのトリッキーな下り坂を経てゴールするというレイアウトだということ。しかもこの下りは、前哨戦のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでクリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)が圧倒的な高速で下っていった。他のチームにとってフルームを先に行かせることは、すなわち、優勝争いからの退場を意味することに他ならない。
ところどころに雨の影響が残る神経質な序盤、なんとゲラント・トーマス(🇬🇧スカイ)が落車してリタイヤし、スカイはアシストを1枚削ってしまう。一人を欠いても鉄壁には違いないが、不穏な立ち上がり。それでもスカイは集団を自分たちのペースで引いていく。誰も仕掛けられない。3つ目の超級山岳モン・ドゥ・シャの登り、フルームにメカトラブルが発生し、それを見たかのようにファビオ・アル(🇮🇹アスタナ)がアタックするまでは。
この「紳士協定」に反するようなアルのアタック。これに待ったを掛けたのはかつてのフルームのチームメイト、リッチー・ポート(🇦🇺BMC)だった。トラブルもレースの内とはいえ、脚とは無関係の勝負で雌雄を決することが望まれた勝ち方ではない。総合系選手といくばくかのアシストだけになっていた集団はフルームの到着を待って再出発。今度はすかさずヤコブ・フルサング(🇩🇰アスタナ)が仕掛けるが、これは容認された。一方で登坂でナイロ・キンタナ(🇨🇴モビスター)とアルベルト・コンタドール(🇪🇸トレック)が遅れ、上位争いからも脱落する。
峠を越え、ついに下り坂。ここでなんとフルームを救ったポートがコースアウトして一回転してしまう。ダニエル・マーティン(🇮🇹クイックステップ)も巻き込まれたが、マーティンは再スタート。しかしポートは2カ所の骨折で立ち上がれず、そのまま救急車で運ばれた。
このあと先を行ったのはロマン・バルデ(🇫🇷AG2R)。遅れを取り戻す快走で集団を引き離していく。バルデの逃げは最後の平坦区間で捕まり、フィニッシュは総合系選手によるスプリントに。このとき6人が競ったが、そのうち2人はアルとフルサングのアスタナコンビ。アスタナとしては総合2位に付けているアルが1着に入って3位までが貰えるボーナスタイムを稼ぎ、さらにフルサングが2位か3位に入って他のライバルのボーナスタイムを削るべきだった。とはいえアスタナの狙いは空回り。逃げ集団から残っていたワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)とリゴベルト・ウラン(🇨🇴キャノンデールドラパック)がほぼ同時にゴールに飛び込み、3位にはバルデを交わしてフルームが入った。
総合系が激しく争った結果、レースタイムが早く進み8選手がタイムアウトとなった。これにはアルノー・デマール(🇫🇷エフデジ)などエフデジの4選手が含まれた。フランスの名門チームは総合系のティボー・ピノー(🇫🇷エフデジ)も大きく遅れ、目標をほとんど失った。
新城幸也(🇯🇵バーレーンメリダ)はこのステージを97位で完走。チームは総合系のエースを初日で欠いたが、新城のアシストなどでソニー・コロブレッリ(🇮🇹バーレーンメリダ)がポイント賞で6位に入っているなど新しい目標に向かって進んでいる。アシストに脚を使いながらも新城も総合順位117位で第1週目を折り返した。

ステージ勝者 リゴベルト・ウラン(🇨🇴キャノンデールドラパック)5時間37分22秒

各賞ジャージ
総 合 クリストファー・フルーム(🇬🇧スカイ)38時間26分28秒
ポイント マルセル・キッテル(🇩🇪クイックステップ)212ポイント
山 岳 ワレン・バルギル(🇫🇷サンウェブ)60ポイント
新 人 サイモン・イェーツ(🇬🇧オリカ)38時間28分30秒